みずほ投信投資顧問の「AR国内バリュー株式ファンド(愛称:サムライバリュー)」は、有望な中小型バリュー株に投資しつつ、指数先物を売り建てることで「絶対収益」の獲得を追求するというファンドだ。同ファンドのこの1年の運用状況と今後の見通しについて、安西慎吾・みずほ投信投資顧問 株式運用部シニアファンドマネジャーに話を聞いた。
■中小型バリュー運用が効いた1年で、基準価額は13.83%の上昇
AR国内バリュー株式ファンド(サムライバリュー)
の基準価額と純資産総額の推移

サムライバリューの直近1年の状況を見る前に、まずは2013年9月~14年8月末までの株式市場全体の動向について振り返ってもらった。
「TOPIX配当込みの数値で見た場合、この1年は17.84%の上昇となりました。もう少し細かく見ていくと2013年9月から2014年年初までは、2020年東京五輪の開催が決まったこと、日米の経済指標が共に良好であったことなどから堅調な展開でした。

その後、1月中旬から5月までは、米国経済指標の落ち込みを契機に新興国の経済や通貨に対する懸念が起こり、さらにはウクライナ情勢の悪化などもあったため、大幅な調整から軟調なボックス推移になりました。ただ6月以降は、引き続き地政学リスクなどがマイナスに働く局面はあったものの、中国の経済指標の改善や日本の成長戦略などがプラスに働き、再び上昇へ。1年を通してみると、全体的には概ね堅調だったと言えるでしょう」安西シニアファンドマネジャー(以下、カギカッコ内同)
では、サムライバリューの主要な投資対象となっている、中小型バリュー株の動きはどうだったのだろうか?
「中小型バリュー株の指標であるラッセル野村の中小型バリュー・インデックス(配当込み)は1年で22.45%上昇して、株式市場全体(TOPIX配当込み)の上昇を上回りました。また、当ファンドはマザーファンド(MHAM国内中小型バリュー株式マザーファンド)を通じて現物株式に投資していますが、マザーファンドのパフォーマンスは同期間で+39.72%。有望な割安銘柄を厳選できた結果、中小型バリュー株指数と比べて17.27%上回る収益を獲得することができました」
最初に述べたとおり、サムライバリューは「有望な中小型バリュー株の買い」と「指数先物の売り」を組み合わせるという仕組みを採用している。そのため、ファンドとしてのパフォーマンスは直近1年では+13.83%となり、8月末時点での基準価額は12082円となった。
「株式市場全体が上昇する中、中小型バリュー運用が有効に機能したことで、好調な結果を得られたと考えています」