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インタビュー

テーマ型投信を『当てに行く』のは3つの理由から難しい。ではどうする? ~テーマ型投信の注意点と上手な付き合い方を考える~

ニッセイ基礎研究所 金融研究部 研究員 前山裕亮さんに聞く

■テーマ型への投資が難しい3つの理由とは?

 テーマ型投資では、なぜヤマが外れてしまう…つまり予想が当たらないことがよく起こるのでしょうか。次の3点が挙げられると考えます。

●テーマ型への投資が難しい理由

  まず1つ目は、「テーマ自体の問題」です。成長すると思った産業が成長しなかったとか、当初は想定されていなかったリスクが出てきたとか、描いたとおりのシナリオにならないというケースがよくあります。

 足元では、米国のインフラ投資ファンドがわかりやすいかもしれません。トランプ大統領になったら米国のインフラ投資が増えるという思惑がそもそもあったけれど、実際に予算を検討する段階になったら期待していたほどインフラ投資は増えない、最悪は頓挫する可能性もある…となると、テーマ自体に問題があったということになります。

 2つ目は「投資期間の問題」です。投資家が考えている投資期間と、実際にパフォーマンスが付いてくる期間にギャップがある場合、たいていは後ずれしてくるので、投資家が我慢できずに売ってしまうということがあります。たとえば、薬剤の開発などでは実際に収益化するのは5年後、10年後あるいはそれ以上というケースが多くあります。また、車の自動運転なども実用化までにはまだまだ長い時間がかかるでしょう。

 本当にいいテーマだからじっくり投資しようと考えても、ファンダメンタルズが付いてきてパフォーマンスを上げるまでの期間が想定してた投資期間と大きく違えば、利益を上げるのは難しくなってしまいます。

 最後に3つ目の問題は、「投資タイミング」です。結局、これがいちばん大きい問題なのかもしれません。注目されるテーマが出てきてから投信が設定されるので、どんなに早くてもテーマの初動から1~2カ月のタイムラグが発生します。どこか一社が設定してから他社が追随する場合には、もっと遅くなります。また、投信が設定されて実際に投資家が購入するのは、さらに遅いタイミングになってしまいます。

 先ほど例に挙げた米国のインフラ投資では、トランプ大統領が就任したときから関連銘柄は大きく上がりましたが、インフラ投資がテーマの投信は年明けに設定…ということになると、すでにある程度期待は織り込まれている状態で、さらなる上振れがないと思ったほどのパフォーマンスにはならないかもしれません。

 もう1つ、投資タイミングで言えば、マーケット全体で見ればヘッジファンドやアクティブマネジャーなどは投信が設定されるよりずっと早いタイミングで投資を行なっています。そのため、ヘッジファンドなどより遅いタイミングで設定されたテーマ型投信に、個人投資家が最後に乗るというパターンになりがちなのです。

 こうした3つの問題があるため、テーマ型投信は難しいのです。とは言え、テーマ型への投資がまったくダメというわけではもちろんありません。思惑どおりに業績拡大や経済成長の波に乗り、一大テーマになったときには、しっかりパフォーマンスが取れるのもまた事実です。では、どうすればよいのでしょうか?

 予想が当たるか外れるかは、事前にはわかりません。政治や経済で予測しなかったことも起こり得るでしょう。であれば、仮に盛り上がると思ったテーマであっても、最初は少額から投資するというのが鉄則だと私は考えます。テーマ型投資に限らず投資全般の基本原則とも言えますが、少額から分散して買っていくことです。また、本当によいテーマだと思えば、短期的な上昇で利食いが出て下がったところで落ち着いてエントリーして、じっくり長期投資をしていくというのも重要ではないかと考えます。

■「地域物」のテーマ型投信は年ごとの好不調の差が激しい

 前述のとおり、今年1~4月はインド株に投資する投信が圧倒的に高いパフォーマンスを上げていました。足元を見る限りは絶好調ですが、では昨年以前はどうだったのでしょうか? 「地域物」のテーマ型投信の中でも、人気が高いBRICs4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の株式ファンドについて、リーマン・ショックの影響が軽微になった10年以降の年ごとのパフォーマンスを振り返ってみました。

●BRICs 4カ国の株式ファンドのパフォーマンス

  今年1~4月まででは+21%と好調のインドですが、15年、16年はけっこう低迷していたことがわかります。さらに遡ると12~14年はプラスで推移していますが、11年は▲41%と大きく落ち込んでいます。日経平均もマイナスですが下げ幅はインドのほうが倍以上とはるかに大きく、やはりハイリスクであることがわかります。

 また、他の3カ国――ブラジル、ロシア、中国を見ても、インドと同様に年ごとの上昇と下落の波が激しくなっています。たとえばブラジルは、オリンピックがあった16年は+44%と大幅に上昇していますが、その勢いは残念ながら今年まで続いてはいません。また、前年の15年には▲41%と大きく下落しているため、15年、16年の2年間で見ると±ゼロになってしまいます。

 いずれにしろ、過去7年の間、円建てで右肩上がりに上昇した国はありませんでした。もちろん、ある年に上がる国を正しく当てられれば大きく儲けることは可能です。しかし、ピンポイントで「16年はロシア株が上がる」と予想するのは難しいでしょう。そうであれば、地域一極集中ではなく、BRICs全体、新興国全体を買うという。そうなると「テーマ型」ではなくなりますが、全体的に持って予想をしないというのは1つの考えるべき方法ではないでしょうか。

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