今、求められている投資のスタンスや各社こだわりの投資信託の特徴について熱弁!

メインセッションと並行して進められたミニセッションでは、9つの運用会社が投資に対する考え方の基本や自社商品における投資戦略などについて熱弁を振るった。その序盤では3社がそれぞれ異なる視点から興味深い話を披露し、来場者は真剣に耳を傾けていた。

「不確実性を増す投資環境 ~世界の大規模機関投資家が実践している分散投資術~」
(ラッセル・インベストメント/ミニセッション会場 11:00~11:30)

ミニセッションのトップバッターとなったラッセル・インベストメント運用ビジネス推進部ディレクターの荒木潤氏は、まず同社について簡単に説明。1936年にフランク・ラッセル氏によって創立された歴史の長い運用会社で、米国ワシントン州シアトルを本拠とし、1986年には日本オフィスを開設したという。そして、複数の運用会社を組み合わせるマルチ・マネージャー運用のパイオニアで、サイクル(景気循環)、バリュエーション(割高・割安)、センチメント(投資家心理)という独自の視点から市場環境を見極めて投資判断を行うのが同社の特徴とのことだ。

荒木氏によれば、足元では長期金利が上昇傾向を示しているものの、短金利との利回り格差(イールドスプレッド)は縮小しており、これが0以下になるとその後にリセッション(景気後退)に陥るというのが過去の経験則とか。同社はサイクルについて日米欧が「ややポジティブ」と判断し、バリュエーションにおいては米国株が割高圏にあると捉え、センチメントは米欧と新興国が「ややポジティブ」と分析。強気相場が続いているが、貿易戦争への懸念やFRBによる利上げ、地政学的リスクなどといった不透明要因も抱えており、長期的視点から規律と分散によって対峙することが重要だと荒木氏は訴えた。

そのうえで、巨額の資金を動かす世界の機関投資家が実践している分散投資術として、荒木氏はラッセル・インベストメントの運用戦略について解説。資産の分散に加えて、①高い収益性や収益向上が見込まれる企業に投資するグロース、②過小評価されている割安な銘柄に投資するバリュー、③市場の情勢に焦点を当てるマーケット・オリエンテッドといった3つの運用スタイルに分散し、さらに運用会社を分散しているのが同社独自の手法という。

運用会社の選定に当たって、詳細なデータを適切に分析するための高度なノウハウを有しているのがラッセル・インベストメントの強みと荒木氏は指摘。そして、選定後も定期点検を怠らず、過去の実績だけに囚われないで入れ替えや新規採用にも前向きに取り組むとのこと。こうした運用を実践している主なファンドとして、「ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス」、「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド」、「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)」、「ラッセル・インベストメント新興国増配優良株」を例に挙げた。

「資産形成のスタート ~これからの投資とは~」
(あおぞら投信/ミニセッション会場 11:45~12:15)

続いて壇上に立ったのは、あおぞら銀行グループの資産運用会社として4年前に設立されたあおぞら投信取締役会長の柳谷俊郎氏。開口一番、「これまでの投資とは違うことを考えませんか?」と来場者に問いかけたうえで、①資産分散、②時間分散、③長期投資の3つが投資の基本であると指摘。これらを実践するものとして、あおぞら投信では2つの商品を用意しているという。

その1つは「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド(愛称:てつさん)」で、徹底的に分散を図っているのがその名の由来とか。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用している非従来型アプローチによる手法を用い、ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズが投資対象となるファンドを運用しており、インデックスの3倍超に相当する9600銘柄以上に幅広く分散がなされているとのことだ。

対照的に「あおぞら・日本株式フォーカス戦略ファンド(愛称:しゅういつ)」は、特定のターゲットに焦点を絞って集中投資を行っているのが特徴。過去1年間(2017年8月~2018年8月)を振り返っても日経平均株価が16%の上昇を遂げた中、採用銘柄で株価が上昇したのは約40%にとどまり、残る約60%は下落していたように、銘柄の選別が重要となってくるからだ。同ファンドは海外の投資家が日本株をどのように見ているのかという目線から分析を行い、厳選した15銘柄を組み入れている。そして、インデックス並みのリスクにとどめつつ、長期的に参考指標を上回る運用成果をめざす。

柳谷氏いわく、「資産形成とは、人生の質を豊かにするための“生活スキル”である」という。たとえば、1000万円の退職金を利回り0.01%の定期預金に5年間預けても5000円しか増えず、日常の暮らしも変わらない。だが、目標利回り3%で運用すれば159万2700円を得られる可能性があり、その結果として彩り豊かな自分の時間を体験できうる。これが“生活スキル”の違いであって、運用期間が長くなるほどその差は大きくなってくる。

これまでの投資に欠けていたのは、自分自身のリスク許容度に関する認識や投資の基本の実践で、そういった理解を深めることこそ、“生活スキル”のアップにつながると柳谷氏。NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)によって税制上の優遇策が設けられ、ようやく日本も変わりそうだと私見を述べたうえで、「今から新しいスタイルの投資をぜひ身につけてください」と場内にアピールした。

「確信度の高い銘柄に集中投資! −日本とアジア株式の投資魅力とアプローチについて−」
(シュローダー・インベストメント・マネジメント/ミニセッション会場 12:30~13:00)

3番手の登壇者は、確信度の高い銘柄に集中投資する「シュローダー厳選グロース・ジャパン」を運用するシュローダー・インベストメント・マネジメント日本株式運用副責任者の荒井卓氏。日本株やアジア株の魅力とともに、確信度の見極めなど、同社が用いているアプローチについて説明を行った。

1991年にバブル経済が崩壊して以来、約20年間にわたって停滞が続いたデフレ期を乗り越え、本格回復から成長へと新しいステージに入ったと荒井氏は述べたうえで、「ポイントとなってくるのはここから先にどちらへむかうのかだ」と指摘。日本に対する見通しについて、海外の投資家の意見は楽観派と悲観派に分かれているが、シュローダー・インベストメント・マネジメントでは比較的強気のスタンスで臨んでいることを明らかにした。

貿易戦争や消費増税などといったいくつかのリスクが散見されるものの、日本企業が努力を重ねた結果、高い投資リターンを期待できるようになっていることがその根拠だという。そして、それを如実に表しているのがROE(自己資本利益率)、海外売上高比率、有利子負債比率、社外取締役採用企業比率、株式保ち合い比率の大きな変化で、1997年と2017年の数値を比較すると、いずれも大幅な改善がうがかえると言及した。

一方、経済成長率の高さや豊富な労働人口、莫大な消費市場としてのポテンシャルを踏まえれば、アジア・パシフィックが21世紀の主役となるのは必至と荒井氏。フィンテック関連など、イノベーションがアジアの経済成長をさらに加速させているとの見解も示した。

そのうえで、「シュローダー厳選グロース・ジャパン」における銘柄選別のプロセスについて説明。まず、株価は企業業績(EPS=1株当たり利益)と人気度(PER=株価収益率)との掛け算によって決まることを踏まえて、約3700社の全上場企業の中からEPS成長が平均以上に達しているところに的を絞り、市場で人気が高まる可能性が高いものを独自の基準で見極めていった結果、足元では37銘柄を組み入れているという。

それらは、①グローバル・ニッチ・トップ(ニッチな分野で世界的シェア獲得)、②ネクスト・リーディング・カンパニー(次代の主役企業)、③ノンコンセンサスグロース(市場に見過ごされている成長株)という3つのカテゴリーに分類でき、ESG(環境・社会・企業統治)の観点からも持続的成長が可能な優良企業だと荒井氏。最後に、シュローダーが200年超の歴史を誇る世界的な金融グループで日本においても44年間にわたって活動を続けていることや、「リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2018投資信託株式部門最優秀会社賞」をはじめとする数々の賞を受けていることに触れてから壇上を去った。