ESG投資、確度の高い厳選投資、最先端技術活用と、各社のこだわりをアピール!

ミニセッションの中盤では、ESG投資や、16銘柄に的を絞った厳選投資、さらには最先端テクノロジーによる米国小型株分析といったように、個性的なアプローチが光る3社が登壇し、詰めかけた個人投資家に対して熱心に訴えかけた。

ESGの視点で長期投資を実践! ぶなの森から始まるエコと投資
(損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント/ミニセッション会場 13:15~13:45)

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントからは、クライアントサービス第2部の中島暎美氏が登場。まず冒頭において、世界各国の開発に伴う生息エリアの縮小で急速なペースで絶滅が進み、生物の多様性が脅かされている現状について訴えた。

同社ではこうした問題に正面から取り組んでいくことが企業経営価値と捉え、その一環として「生物多様性保全活動 ~SAVE JAPANプロジェクト~」を展開。2016年度には約650回のイベントを開催してのべ32000人以上が参加した一方、1993年から「市民のための環境公開講座」も企画し、こちらはのべ20000人以上が足を運んだという。

CO2排出による地球温暖化で世界の平均気温はこの100年で0.73度、海面は20センチ上昇しており、1時間当たり80ミリ以上の猛烈な雨の回数も増加。こうした地球環境の変化に伴って頻発する自然災害は生活だけでなく、企業活動にも影響を及ぼしていると中島氏は指摘した。

そして、2015年の「国連気候変動枠組条約締結国会議(COP)」で合意に至ったパリ協定への署名機関が広がるとともに、企業にとっても持続的に取り組むべき経営課題となっており、投資の世界にもESG(環境・社会・企業統治)という観点が浸透し始めているという。中島氏によれば、世界におけるESG関連投資は2012年以降、4年間のうちに1.7倍にまで拡大しているとのことだ。

2012年2月、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントはPRI(国連責任投資原則)に署名。PRIは個々の署名機関における責任投資の実施状況にレーティングを付与しており、同社の2017年における取り組みは6段階中の最高評価を得ている。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントが手掛けているのは「損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)」で、ESGの先駆けとも言えるエコファンドとしては1999年から運用を行ってきた。1999年からESGリサーチに取り組んでいるSOMPOリスクマジメントと協業し、SOMPOグループ内で完結する運用体系となっているのが特徴という。

設定から2018年8月31日までの「ぶなの森」は、ベンチマーク(TOPIX)を60%以上上回る実績を達成しており、環境分析が運用に奏功していることが実証されている。ESGと財務パフォーマンスの関係は、特にリーマンショック後の業績回復力において顕著に表れたようだ。

なぜ株式を保有すべきか? ~厳選投資の魅力~
(スパークス・アセット・マネジメント/ミニセッション会場 14:00~14:30)

続いて、満員となって立ち見も目立つようになった場内でスピーチを始めたのは、スパークス・アセット・マネジメントのマーケティング本部でチーフエコノミストを務める 清水孝章氏。同社は「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」という投資信託を運用しているが、それに組み入れている16銘柄をどういった基準で選んでいるのかについて説明するという。

本題に入る前には清水氏は、「なぜ株式を保有すべきか?」という問いかけに対する答として、2つの答があると指摘。デフレからインフレへと日本社会が“普通の世界”に戻りつつあることがその1つで、もう1つは資産を大きく増やすためだと訴えた。

そして、特に後者を求めるためには、優秀な経営者が率いている企業に投資することが重要だと清水氏は説く。株価指数(平均値)が年率5%程度の期待リターンであるのに対し、いい会社に投資すれば、それを圧倒するパフォーマンスが得られるからだ。

ここで話題を変えて、清水氏はスパークス・アセット・マネジメントとはどのような会社なのかについて説明を始めた。1989年7月、同社はバブル崩壊の5カ月前、野村総合研究所で電鉄株のアナリストを務めていた阿部修平氏が創業したという。

それに先駆けて阿部氏は1985年にニューヨークで資産運用会社を設立し、10名の投資家に投資戦略レポートを送ったそうだ。「東武鉄道の所有している土地の膨大な含み益が株価に反映されていない」という内容で、唯一返事をくれたのは、伝説のヘッジファンド運用家として世界にその名を轟かせるジョージ・ソロス氏だった。

「きみの話にはスパーク(閃き)を感じたよ。さっそく1億ドルを運用してくれ」と依頼され、阿部氏はソロス氏のもとで働くことになった。そして、レポート作成時に200円だった東武鉄道の株価は2年後に10倍になり、阿部氏はそれを売って日本で起業したという。

銘柄を厳選するうえでスパークス・アセット・マネジメント独自の着眼点とは、企業収益の質(ビジネスモデル)、市場成長性(売上の伸び)、経営戦略(経営者)からその実態価値を見定め、市場価値(現状の株価)との間にギャップが生じている(実態よりも割安となっている)ことにフォーカスすることだと清水氏。何らかのカタリスト(きっかけ)によって、そのギャップが埋められていく可能性に期待しているわけだ。

実際にファンドの組み入れている銘柄の一例として、清水氏は森永製菓を挙げた。ほぼ同じカカオの含有量で、ブラインドテストを行っても味の評価に差がなかったにもかかわらず、ゴディバのチョコレートは森永製品の約8倍、約10倍といった値段で販売されていたことに着目し、経営者が交代して株主重視の姿勢に舵を切ったのを機に組み入れたという。

組み入れ後、森永製菓の株価は4年間で7.3倍にまで上昇。同じく16銘柄の1つであるソフトバンクについても、スパークス・アセット・マネジメントは同社の実態価値を非常に高く評価しており、長期保有を続けながら下げ局面では積極的に買い増しているという。こうして確信を持って1つの銘柄に最大25%まで投資するのが「厳選投資」というファンドであり、2008年3月の設定以来の年率リターンは約14%に達していると胸を張る清水氏は、「ぜひ日本株を保有してください!」と訴えかけて話を締めくくった。

世界最大の運用会社が誇る「進化する運用戦略」 ~テクノロジー×小型成長株の威力~
(ブラックロック・ジャパン/ミニセッション会場 14:45~15:15)

ミニセッションの中盤で最後に登壇したのは、ブラックロック・ジャパン取締役リテール営業部門長の浜田直之氏だ。まず、「ブラックロックは世界30カ所以上の拠点に2000名以上のプロフェッショナルを配し、100カ国以上のお客様から約700兆円の資産を預かる世界最大の運用会社です」と説明。その運用資産残高は、日本の株式市場全体の時価総額(2018年6月末時点で670兆円)や名目GDP(2017年度で549兆円)を凌いでいる。

そして、すべての分野において第一人者であることがブラックロックの特徴であると浜田氏はアピール。たとえば、「iシェアーズ」のブランド名で知られるETFを通じてインデックス運用でも大いに強みを発揮し、株式型で36%、債券型で49%もの世界シェアを獲得しているという。

一方、ブラックロックは創業以来、テクノロジーの潜在的な可能性を追求してきた会社であることも浜田氏は強調。独自のリスク管理システムを開発してグローバルに多くの金融機関において採用されており、ブラックロックにとってのライバルはグーグルやテンセント、アリババといったIT企業であるとも述べた。

今、世界では1分間のうちに1億5000件のメール送受信、フェイスブックでの300万件のアップデート、380万件のグーグル検索、500万回のユーチューブ再生が行われており、ビッグデータはボリューム(量)、ベロシティ(速度)、バラエティ(多様性)といった観点から従来のシステムで管理不可能だと浜田氏。さらに、AI(人工知能)を活用してビッグデータの収集と分析を行ったうえで、人間による判断も交えることが肝心で、人とテクノロジーとデータの融合が求められていると指摘した。

そのうえで、今はこうしたテクノロジーが運用にも生かされる時代になっていると浜田氏。多くの場合、会社側が決算を発表した時点においてそのことはすでに株価におり込まれており、人工衛星データなどを駆使しながらいち早く業績の行方を察知することが重要で、たとえばブラックロックではGPS(位置情報)を用いた独自の業績先行指標を開発していることを紹介した。

ブラックロックでは、最先端のテクノロジーを米国の小型成長株を分析する際に駆使しているそうだ。浜田氏いわく、アナリストのリサーチは全体の84%を占める大型株に集中しており、小型株をウォッチしている人が圧倒的に少ないのが実情という。

言わば、目の前に宝の山があるにもかかわらず、宝石鑑定士がほとんどいない状態。これからはテクノロジーを用いてデータをしっかりと分析し、その魅力を発掘していくことが重要になってくると清水氏は説く。

米国の小型株では上位20%の銘柄が5.5倍に上昇しており、大型株と比べて優勝劣敗の色彩が鮮明。NISAの非課税メリットを享受するうえでは、小型株のように振れの大きい投資対象に、長期的にドルコスト平均法の効果を期待できる積立投資で臨むのが効果的だと進言して壇上を去った。