投信の「リバランス」を正しく理解しよう!

【今回の回答者】マネックス証券 飯田敦マネックス・ラボ室長

投資信託で資産形成をしていくときに、気になることのひとつが「リバランス」ではないでしょうか。必要なものらしいけれど、いつどうやってやればよいのか、イマイチよくわからないという人も多いのでは? 今回は、実は誤解されている点があるという「リバランス」について教えてもらいました。

マネックス証券 マネックス・ラボ室長 飯田 敦氏

 投資信託で資産形成をしていくときに、気になることのひとつが「リバランス」ではないでしょうか。必要なものらしいけれど、いつどうやってやればよいのか、イマイチよくわからないという人も多いのでは? 今回は、実は誤解されている点があるという「リバランス」について、マネックス証券 飯田敦マネックス・ラボ室長に教えてもらいました。

 

 
 

■Q1:「リバランス」って何ですか? 何のためにやるの?

■A1:保有している資産の配分比率を調整して、保有資産のリスクが上がらないようにすることです。

 中長期で投資をしていくときには、日本株、外国株、国内債券、海外債券、REITなど複数の資産に分散投資している人がほとんどだと思います。通常、資産によって値動きは異なるため、ある程度長く持ち続けているともともと持っていた資産の配分が徐々に崩れていきます。それをもとの配分比率に戻すことがリバランスです。

 ●リバランスのイメージ

 では、なぜリバランスが必要なのでしょうか。例を挙げて説明しましょう。たとえば、日本株に投資する投信を25%保有していて、それ以外のものを75%持っていたとします。その後、日本株だけが上がって、ほかの資産は変化がなかったとすると、資産全体に占める日本株の割合が高くなります。

 25%だった日本株の割合が、値上がりの結果30%になったとしましょう。日本株が上がっているわけですからうれしい状況と言えますが、ウエイトが上がっているということは、当初より日本株のリスクが高くなっているということです。

 そのため、もしこの先日本株が下がる場合には、資産全体が受けるダメージが、当初の想定より大きくなってしまいます。リバランスをしてもとの配分に戻せば、リスクを当初想定していた状態に戻すことができます。

 ただし、リバランスが常によい結果につながるかというと、そうとは限りません。前述の例で説明すると、たとえば一本調子で日本株が上昇していて日本株の比率が30%まで上がったときに、それをまた25%に引き下げてしまうと、せっかくの上昇局面を逃してしまうためです。

 逆の場合も同様です。下落が続いていて、資産全体に占める日本株の比率が25%から20%まで低くなったところで、リバランスして25%に戻してしまうと、リバランスしなかった場合に比べて日本株下落の影響が大きくなってしまいます。リバランスの効果は、相場の状況とも密接に関わっているのです。

■Q2:リバランスの頻度はどのくらいがベスト? 1年に1回?

■A2:「定期的にやるべき」というのは誤解。相場が大きく変わる局面をとらえるのが理想です。

 1年に1回、あるいは半年に1回など「投信のリバランスは定期的に行うもの」と思っている方は、非常に多いようです。でも、それは正しい理解とは言えません。次のグラフをご覧ください。

 ●年1回リバランスとスコアのリバランス比較

出所)上記データを基にマネックス証券作成

 リバランスをまったくしないケースが、最も低いパフォーマンスという結果になりました。やはりリバランスは必要です。

 これは、当社独自の資産配分によるポートフォリオで、リバランスのテストを行った結果です。この例でパフォーマンスが最も低かったのは、リバランスを一度もしなかったケース(緑のライン)です。リバランスをまったくしないよりは、リバランスを1年に1回行ったほう(赤のライン)が、やはりパフォーマンスがよくなることがわかります。

 ただ、最もパフォーマンスがよかったのは、この例では13年間に2回だけリバランスしたケース(赤のライン)でした。赤のラインでは、当社で開発したスコア※に基づいて、スコアが基準値以下になったときにだけリバランスを実施しています。

 ※スコア=目標とするポートフォリオと保有しているポートフォリオが
      どのくらい乖離しているかを数値化したもの

  これはあくまで一例ですが、他のさまざまな分析結果からも、高い頻度でリバランスをするとパフォーマンスが下がるケースがあるという結果が出ています。つまり、リバランスはしたほうがよいけれど、定期的に行えばよいわけではないということです。

 では、どのくらいの頻度で行えばよいのでしょうか。考え方のポイントは、「年に○回」と最初から回数を決めるのではなく、資産配分の変化に注目するということです。ご自身で「配分比率が○%変化したらリバランスする」といったルールを作っておいて、それに従ってリバランスをするのがベターだと思います。

■Q3:自分でルールを決めるのは難しいのですが…。もっと簡単なやり方はありますか?

■A3:追加投資や部分解約の際に、リバランスを意識した行動を取るだけでも十分です。

 A2で説明したように、ご自身でルールを決めてリバランスを行う方法もあります。けれども、それが難しいという方は次のやり方が取り組みやすいのではないでしょうか。

 それは、追加投資や部分解約をする際に、リバランスを行う方法です。誰しも、中長期で投資をする際には、まとまったお金が入って追加で投資をしたり、あるいは必要があって部分的に解約したりという機会があるでしょう。

 追加投資や部分解約がたとえ少額だとしても、そのタイミングでリバランスを行って、当初の資産配分に近づけていけばよいのです。これだけでも、何もしないで放置しておくよりはパフォーマンスの改善が望めます。

 その程度で、リスク管理として問題はないのかと気にされる方もいるかもしれません。けれども、A2の例で見た通り、リバランスは回数が多ければよいというわけではありません。

 そもそも分散投資をしていること自体が、ある程度のリスク管理になっています。値動きの異なる複数の資産を保有していると、ひとつの資産だけを保有している場合よりも、取っているリスクに対する期待リターンをより大きくできるからです。そのため、追加投資や部分解約の際のリバランスでも問題はないと考えます。

■Q4:具体的には、どうやってリバランスすればいい?

■A4:足りない部分を追加するか、増えた分を売却するか。積立の配分で調整する方法もあります。

 リバランスの具体的なやり方としては、ウエイトが低くなっている資産に追加投資する、ウエイトが高くなっている資産を売却する、の2つがあります。

 たとえば資産Aと資産Bを50ずつ持っていて、Aが50のままで、Bが60に増えたとします。追加投資でリバランスする場合は、Aに10を追加してAを60にすれば、A60、B60となってAとBの比率は50%ずつに戻ります。

 一方、部分解約でリバランスしたいと思えば、Bを5だけ売ってそれをAに追加投資して、A55、B55としてバランスをもとに戻すこともできます(これ以外に、Bを10売却する方法もあります)。

 ●リバランスのやり方

 ただし、後者のように保有している資産を売ってリバランスをしようという際は注意が必要です。なぜなら、利益が出ている場合は売却時に利益に対して税金がかかってくるからです。

 投資信託の利益に対する税率は、20.315%(所得税+復興特別所得税+住民税)です(2016年9月現在。またNISAでの取引を除く)。先ほどの例のように、増えているものを売却して足りないところに追加投資した場合、トータルで見ると税金分、資産が減ってしまうことになるのです。

 税金のことを考えた場合には、追加投資でリバランスをしたほうがよいと言えるでしょう。

 もし、積立投資をしているなら、保有資産ではなく今後の積立金額の配分調整によってリバランスを図るのも手です。積立の金額調整では、すぐに配分をもとの状態に戻せないと心配される方もいますが、そこまで厳密に考える必要はありません。

 また、自分でリバランスをするのが苦手であれば、バランスファンドを選ぶという方法もあります。バランスファンドなら、1本の投資信託で複数の資産に分散投資するだけでなく、運用を続ける過程で当初の資産配分が崩れたときには、運用会社が元の資産配分にリバランスしてくれます。

【まとめ】

 リバランスはやらないよりやったほうがよい。それは間違いありませんが、今までよく言われてきた「1年に1回」といった期間の設定に絶対的な意味はありません。また、分散投資していることで、すでにある程度のリスク管理はできています。その点をしっかり踏まえた上で、自分なりのルールを決めてリバランスする、あるいは追加投資・部分解約のタイミングでリバランスを図るなど、ご自身がやりやすい方法を取っていただければと思います。

(取材・文/肥後紀子)