“積立関連サービスの拡充、独立系などのアクティブ型投信の人気など――2017年、SBI証券の投資信託のトピックスを振り返る

SBI証券 執行役員投資信託部管掌 橋本隆吾さん、投信・債券部課長代理 鳴海孝幸さんに聞く

2017年、当社の投資信託の販売は概ね好調でした。前年の2016年は、英国のEU離脱問題や米国の大統領選挙でのトランプ氏の当選などによる市場の混乱もあり、投信の販売はやや伸び悩む状況だったと言えます。しかし、相場の回復を受けて、2017年は年初から顧客の方々の投資意欲も前向きで、投資信託については11カ月連続で設定超、つまり販売が解約を上回る状況が続いています。

■トピックス①顧客のニーズに応えて、投信積立サービスの頻度を拡充

≪橋本≫ 2017年、当社の投資信託の販売は概ね好調でした。前年の2016年は、英国のEU離脱問題や米国の大統領選挙でのトランプ氏の当選などによる市場の混乱もあり、投信の販売はやや伸び悩む状況だったと言えます。しかし、相場の回復を受けて、2017年は年初から顧客の方々の投資意欲も前向きで、投資信託については11カ月連続で設定超、つまり販売が解約を上回る状況が続いています。

SBI証券 執行役員 投信・債券部長 橋本隆吾氏(左) 投信・債券部課長代理 鳴海孝幸氏(右)

この投信販売の好調を支えている一つの要因のが、以前から力を注いでいた投信積立サービスのさらなる強化です。とりわけエポックメーキングなサービスが、10月7日から可能になった「毎日積立」に代表される積立日設定のバリエーションの拡充と言えるかもしれません。

従来当社では、同じ銘柄であれば1カ月に任意の一日しか積立日を設定することができませんでした。これを、10月のサービス拡充で、毎日、毎週、毎月、隔月、そして複数日という5つの方法で積立できるように変更しました。このことが、投信の積立設定金額を増加させ、投信全体での販売増につながったと考えています。

≪鳴海≫ 以前から、「一つのファンドで月に複数回積み立てをしたい」というご要望はお客様から比較的多く頂いていました。たとえば、ひと月に3回、5日と15日と25日というようなイメージですね。10月7日のサービス改善は、そのニーズに応えた形です。

≪橋本≫ 9月末時点の積立設定額は71億3000万円でしたが、10月7日の積立頻度のサービス拡充開始を経て、10月末には初めて80億円を超えました。単純計算で1カ月で積立設定額が8億7000万円ほど増加したということなので、サービスを拡充、改善した効果はあったと言えるでしょう。また、2018年1月から「つみたてNISA」がスタートするということで、当社のお客様の中で「投信積立」に対する関心がいっそう高まってきたことの影響もあるかもしれません。

 ●SBI証券の投信積立サービスの設定金額及び設定口座数の推移

積立設定金額は右肩上がりで伸びていて、特に足元での伸びが著しいことがわかる。

 

≪橋本≫ 投信の買付金額全体の中では、積立の比率は1~2割程度とそれほど高いわけではありません。ただ、スポットでの買付は相場状況によって大きく変動しますが、積立の場合は安定的に続けていただけるので、買付があまり伸びない月は積立の比率が上がります。今回のサービス改善で、新たに投信積立をスタートするお客様も多かったですね。

≪鳴海≫ 積立サービスの拡充を機に投信積立を始めたという新規のお客様に加えて、すでに毎月積立をしていて、さらにもう1日、2日と積立の頻度をプラスするというお客様も結構いらっしゃったので、トータルで積立件数も設定金額も大きく伸びました。 

投信積立の設定画面。赤い線で囲んだ部分のとおり、究極の時間分散である「毎日」をはじめ、毎週、毎月、複数日、隔月の5つのコースから希望のものを選択可能。
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■トピックス②日本株を中心としたアクティブ型ファンドの人気沸騰

≪橋本≫ 2017年の当社の投資信託の動きで、もう一つの大きなトピックスとして挙げられるのは、日本株を中心としたアクティブ型ファンドに人気が集まったことです。最も顕著な例が、独立系の運用会社であるレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」です。パフォーマンスが好調なことに加えて、同社の社長でありファンドマネージャーでもある藤野英人さんの人気もあって、当社では今年の販売金額がトップの月も複数ありました。

橋本 隆吾氏

「ひふみプラス」のほかにも、SBIアセットマネジメントの「中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)」などにも人気が集まりました。このように、日本株のアクティブ型投信への資金流入というのは、当社だけでなく投資信託に力を入れるいくつかのネット証券での2017年の一つの傾向だったのではないでしょうか。

「販売金額人気ランキング」を見ても、顔ぶれは1年ないし1年半前とは様変わりしています。一言で言うと、毎月分配型から株式中心のアクティブ型ファンド、あるいはインデックス型ファンド、インデックス型のバランスファンドへのシフトが進んだと言えるでしょう。この傾向は、当社では特に顕著でしたが、一部の主要ネット証券についても同様だったようです。

2017年11月のSBI証券の投信販売金額人気ランキング。1~3位は前月と変わっておらず、1位に「ひふみプラス」、3位に「ジェイリバイブ」がランクインしている。
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  一方、一時期は販売金額人気ランキングの上位を占めていた毎月分配型投資信託は、2017年に関しては年間を通して売れたファンドというのはありませんでした。ただし、2016年の分配金減額ラッシュ時のような、分配金が減額された途端、パーッと解約が起きるといったことはなくなってきています。はっきりとユーザーの声をつかんでいるわけではありませんが、トータルリターンを意識しての行動か、分配金が減ったら別の高分配ファンドに乗り換えるという極端な動きは数カ月前から徐々に見られなくなっています。

■トピックス③2017年は、年間を通じて次々に投信関連のサービス改善・拡充を実施

≪鳴海≫ 2017年は、「積立日設定のバリエーションの拡充」が当社の投資信託では最もエポックメーキングなサービス改善だったと申し上げましたが、年間を通じて見るとその他にも複数の投信関連サービスを投入した1年でした。

まず、2月には投資信託を信用取引の代用有価証券として利用できるようにしました。投信を代用有価証券に利用できるネット証券は他にもありますが、当社の場合は、「一般型」だけでなく、分配金を自動的に再投資する「累投型」の投信まで代用有価証券にできるのが他社との違いです。

続いて5月25日からは、投資信託の買付単位の引き下げを行ない、金額買付についてそれまで1万円以上1円単位だったものを、100円から買えるようにしました。少しタイミングは遅くなりますが、8月には積立のほうも買付の最低金額を500円から100円に引き下げ、より使いやすく買いやすくなりました。

≪橋本≫ また、シミュレータータイプのロボ・アドバイザーツールの導入も進めました。以前から、公募投信では「SBI-ファンドロボ」というロボ・アドのサービスを提供していましたが、2017年5月末からは新たにiDeCo(個人型確定拠出年金)用の商品選びをサポートする「SBI-iDeCoロボ」をリリースしました。

2017年1月の制度改正により、公務員や専業主婦なども含めて、現役世代の多くの方がiDeCoを利用できるようになりました。これまで投資経験がない方もいるという状況の中で、年代やリスク許容度といった簡単な4つの質問に答えていただくだけで、ご自身の運用スタイルに合った具体的なiDeCoの商品を提案できる「SBI-iDeCoロボ」の存在は、商品選びの一助になると考えています。

「SBI-iDeCoロボ」のお勧めの運用スタイルを示す画面。「SBI-iDeCoロボ」は、SBI証券のiDeCoのページにあるバナーをクリックすれば誰でも無料で利用できる。
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ロボ・アドあるいはより新しいシミュレーターについては、今後とも開発、導入を進めていく予定です。2018年1月からは新しいNISA制度の「つみたてNISA」がスタートしますが、たとえば「つみたてNISA」でも、同様のサービスの導入を検討していきたいですね。

■2018年は「つみたてNISA」のセミナーやサービスにも注力の予定

≪橋本≫ 今申し上げたとおり、2018年は長期の資産形成に役立つ「つみたてNISA」が新たに始まります。当社としては、「iDeCo+つみたてNISA」という形で、できれば両方ご利用いただきたいと考えています。その理由は、制度改正で多くの方がiDeCoを利用できるようになったとは言え、企業年金がなく厚生年金のみの会社員でも月額2万3000円、公務員では月額1万2000円という拠出金額の上限があるからです。

iDeCoとつみたてNISAの両方を使っていただくことで、初めて米国並みに拠出して自分の老後資金を確保するという環境に近づくと言えるのではないでしょうか。もちろん、つみたてNISAの場合は、ある程度利益が出たりお金が必要になったりしたときにはいつでも途中で売却が可能ですから、そういう意味では使い勝手もいい商品です。

このように、iDeCoとつみたてNISAという、長期投資の「器」のほうが整ってきたので、今後はそれをどのように活用していただくかといった投資啓蒙・投資教育にも力を入れていきたいと思っています。具体的には、まずリアルセミナーの実施です。iDeCoについては、2017年に200人規模のセミナーを2回実施しました。また、つみたてNISAのセミナーも2018年は積極的に展開していく予定です。さらに、iDeCo+つみたてNISAというセミナーも、今後は検討していきたいと考えています。

鳴海 孝幸氏

≪鳴海≫ つみたてNISAの状況についてお話すると、12月初旬現在、従来のNISAからつみたてNISAに切り替えるお客様も増えています。やはり、20年という非課税期間にメリットを感じるのか、資産形成層を中心に動きがあります。特に、これまでNISAを使って3万円以下で積立をしていた方は、つみたてNISAに移行するケースが多いようです。

≪橋本≫ 世間一般で言うと、つみたてNISAはまだまだ認知度が高くはありません。ただ、当社を含めてネット証券では「投信積立」について日頃から訴求していることもあり、つみたてNISAへの関心が徐々に高まっていると感じています。

つみたてNISAに関心を持っていただいた多くのお客様に応えるべく、当社では金融庁がつみたてNISAの対象としているすべてのファンドを極力採用したいと動いています。理由は、お客様のニーズが多様だからです。コストで選ぶ方が最も多いですが、当社の投信のスクリーニング機能(パワーサーチ)を見ていても、運用会社で選ぶ方も少なからずいらっしゃいます。また、トラックレコードを重視される方もいます。

そこで、商品数を初めから絞ってしまうのではなく、まずできるだけ多くの商品を揃えた上で、先ほど挙げたようなロボ・アドの採用やページの見せ方などによって、上手に選んでいただける工夫をしていくことが重要だと考えています。

つみたてNISAについては、従来のNISAと併せて、当社としては投資家のすそ野を広げる大きな柱と位置付けています。2018年は、商品ラインナップの充実とサービスの拡充にはよりいっそう力を注いでいきたいですね。また、投信全体のサービスとしては、すぐにリリースという状況ではありませんが、やはりスマホ対応、投信専用アプリの開発は徐々に進めていく予定です。

≪鳴海≫ 最近は、「フィデューシャリー・デューティー」(資産運用の受託者が委託者に対して負う責任)ということがよく言われています。2018年は、このフィデューシャリー・デューティーの観点からも、よりきめ細やかな情報発信などを心がけていきたいですね。具体的に今お話しできる新たなサービスなどはありませんが、たとえば個別の投資信託の値動きの背景など、お客様が恐らく疑問に思うであろうことに対しての答えを、わかりやすく発信するようなサービスを提供していきたいと思っています。

(取材・文/肥後紀子、撮影/柴田潔)