公式サイトリニューアル記念インタビュー

資産倍増プロジェクトメンバー各社に聞いた「この8年の成果と、これからのプロジェクトについて」

 2011年3月に、SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券の4社が共同で立ち上げたプログラムが「資産倍増プロジェクト」だ。企業の枠組みを超え、投資信託販売の分野で各社が協力していこうというこの取り組みは、すでに8年目に突入している。


 このプロジェクトに、今年8月から新たに松井証券も参加した。ネット証券大手5社が協力し合うことで、どのような成果が期待できるのだろうか。これまで取り組んできた内容や今後のプロジェクトが目指すもの、また10月7日に開催されるイベント『ネットでNISA2018』について、各社の担当者に話を聞いた。

■「個人投資家の資産形成を応援したい」という思いから始まった


 まずは、「資産倍増プロジェクト」の誕生の背景について、各社を代表してカブドットコム証券の坂中遼平さんに改めて説明してもらった。「スタートは2011年です。『所得水準が伸び悩む時代だからこそ、お客様の資産形成を全力で支援したい』という思いから、手軽に分散投資が実現できる商品である投資信託の普及を目的に、企業の枠を超えたコラボレーションとして『資産倍増プロジェクト』が発足しました」

 名称の由来については、マネックス証券の牧力爾さんが補足する。「個人投資家の皆様にしっかりリターンを上げていただく、つまり『資産倍増』をしていただきたいと考えて付けた名称です」。

 スタートからの8年で、具体的にはどのような取り組みを行なってきたのだろうか。

カブドットコム証券 営業推進部 カスタマーエンゲージメントグループサブリーダー 坂中 遼平氏

 「プロジェクトでは、ネット証券専用ファンドシリーズ6本を立ち上げました。残高的には十分な成果を得られたとは言えないものの、お客様の『資産形成の一助となる』という観点では、各ファンドとも好成績を上げています。分配金再投資ベースで設定以来4倍近いパフォーマンスの『ネット証券専用ファンドシリーズ 新興市場日本株レアル型』や『日本応援株ファンド(日本株)』、また『アジア新興国株式インデックス』も2倍以上の高い運用成績を上げており、『資産倍増プロジェクト』にふさわしい結果を達成したと考えています」(SBI証券・橋本さん)

 「2011年以降、毎年共同イベントも開催しています。豊富なノーロード投信のラインナップがあることや、少額からの投資が可能といった、ネット証券ならではの投信投資のメリットを、少しでも多くのお客様に知っていただく活動に取り組んで参りました」(カブドットコム証券・坂中さん)

 一方、この8年では資産運用を取り巻く環境や考え方も大きく変わったという。楽天証券の山口貴保さんは、「プロジェクトスタート当初は、2009年頃からの通貨選択型の人気が続いていて、分配金の高いファンドが先行されました。しかし、世界的な低金利時代に入ったこともあり、徐々に分配金よりトータルリターンが注目されるようになり、さらにコストについても意識が向くようになってきました」と指摘する。

 また、「ここ数年では、インデックス型ファンドの商品ラインナップが大きく増えると同時に、インデックス投資が注目されるようになりました。さらに、NISAやつみたてNISAといった投資を後押しする制度が導入されたことなどもあり、インデックス投資の中でも特に積立投資が個人投資家の皆様の間で急速に広がりました。多くの初心者の方が分散投資を始めていらっしゃることをうれしく思っています」(マネックス証券・牧さん)。

マネックス証券 プロダクト部長 牧 力爾氏

 SBI証券の橋本さんも、「この8年で投資信託に対するイメージは、『資産を持っている限られた人が行なうもの』から、『限られた資産の中でいかに有効に資産運用を行なうか』へと大きく転換しました」と話す。「2014年のNISA導入や、iDeCo(個人型確定拠出年金)の法改正、2018年のつみたてNISA導入といった税制メリットの魅力が増加したことで、投資信託はお客様の身近なものへと確実に変わってきたと感じています」。

 環境が大きく変化する中で、一定の成果を上げてきたという「資産倍増プロジェクト」だが、それでもまだ「道半ば」だという。「資産運用を取り巻く環境が大きく変化し、ネット証券の存在感も増す中で、本プロジェクトは投資家の裾野拡大にずいぶん貢献できたと自負しています。とは言え、最終的な目的達成にはまだまだ道半ばで今後も一層の努力が必要だと感じています」(楽天証券・山口さん)。カブドットコム証券の坂中さんも同様に、「それでもまだ『投資信託での資産運用自体が一般的になった』とまでは言えません。一層の努力が我々ネット証券には求められていると考えています」。

■松井証券の参加でプロジェクトの「シナジー効果」が期待できる


 共同プログラム「資産倍増プロジェクト」は、2011年のスタート時からSBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券のネット証券大手4社で取り組んできた。この8月末、そこに松井証券が新たなメンバーとして加わった。松井証券は、2016年11月に投資信託の販売を20年ぶりに再開している。

 松井証券の田中さんは、プロジェクト参加の理由を次のように語る。「投信の販売再開から、セミナーやイベントなどを通じて、これまでメインターゲットにしていなかった20~40代の若年層に接する機会が増えています。その中で感じたのは、資産形成に興味があっても具体的にどうすればいいのかわからないという方が想像以上に多いということでした。ただ、これは金融リテラシーと密接に関わることでもあり、1社でどうにかしていけるという話ではありません。ネット証券全体で取り組んでいく課題という認識を持ちました。この現状を踏まえて参加を決定しました」。

 一方、迎える側の4社は、松井証券の参加によって「ネット証券の存在感」が増すことと「シナジー効果」に期待しているという。「資産倍増プロジェクトのプレゼンスを向上させ、より多くのお客様にネット証券で投資信託を持つことのメリットを知っていただく絶好の機会になると考えています。5社それぞれの強みを結集して、これまで以上にシナジーが発揮され、プロジェクトが盛り上がっていけるものと確信しています」(カブドットコム証券・坂中さん)。

SBI証券 投信・債券部長 橋本 隆吾氏

 SBI証券の橋本さんも、「昨今は、異業種からの金融業界への参入も増えています。ただその中で私達は、ネット証券として築き上げてきたお客様からの信頼と実績を揺ぎないものとし、各社それぞれのよさを引き出し、投信業界にシナジー効果を生み出せればと思っています」と話す。

 また、楽天証券の山口さんは、松井証券の参加は心強いと語る。「株式中心で資産運用に慣れた層をメイン顧客にしているイメージの松井証券が、投信販売業務を再稼働し『貯蓄から資産形成』の流れにより注力し始めたことにかねがね注目していましたが、本プロジェクトへの参加で、ネット証券がますます発展拡大していることをアピールできると、とても心強く思っています。ネット証券の顧客層のさらなる広がりにもつながるのではないでしょうか」。

 「日本のオンライン証券業界は長年激しい競争を続けており、その結果、まだまだ至らない点はあるにせよ、個人投資家の投資環境はかなりのスピードで発展していっていると自負しております」というのは、マネックス証券の牧さん。「松井証券の参加を機に、このネット証券5社で個人投資家の皆様の『資産倍増』をこれからも牽引していければと考えております」と決意を語った。

■今後も個人投資家のために積極的な啓蒙活動を続けていく


 5社体制となった「資産倍増プロジェクト」は、今後も継続が決定している。これから先、重視していきたい活動などを聞いた。共通しているのは、投資に関する啓蒙活動に力を入れていきたいという点だ。

 「投資信託による資産形成を、日本人の誰もがやっている貯金と同じくらいメジャーなものにしていきたいですね」というのは松井証券の田中さん。「そのために重要なことは、『長期・分散・積立』による資産形成を理解してもらうことで、その手段となり得るNISAやつみたてNISA、iDeCoの普及にも積極的に取り組んでいきます」。

楽天証券 アセットビジネス事業部長 山口貴保氏

 また、楽天証券の山口さんは「愚直に普及啓蒙活動を行なう一方で、フィンテックのような最新技術も活用して、最先端のサービスを提供していくことも重要です」と話す。「『貯蓄から資産形成』を加速させるために、本プロジェクトを通して各社がどんどん情報発信することが大切だと考えています」。

 カブドットコム証券の坂中さんは、「投資信託の普及」という活動と同時に、今後は顧客のニーズや関心に応じてもう一歩、深堀りしていく必要があるという。「たとえば、これから長期で資産形成をしていこうという方は積立投資への関心が高いでしょうし、資産の取り崩し段階にあるご高齢の方には分配型のニーズが強い。お客様の状況に応じて、整理された情報の発信を心がけていきたいですね」。

 「一過性のブームは狙わない」とプロジェクトの姿勢を示すのはSBI証券の橋本さん。「『長期・分散・積立』の考えを幅広く、より多くのお客様に浸透させるべく、イベントや投資啓蒙の情報提供の場として今後も積極的にプロジェクトに取り組んでいきます。一過性のブームではなく、セミナーやイベントを通じてお客様と触れ合いながら制度やマーケット、運用についてしっかり情報発信していくことを続けていければと考えています」。

 「まずは多くの方々に投資について知っていただくこと。そして、次にそれぞれに合ったやり方で投資を始めていただき、最後に資産を倍増してもらうというのが、このプロジェクトが始まったときからの目標です。今後も新たな商品が開発され、新たな制度が導入されていくと思いますが、基本の部分についてはこれからも変わらないと考えています」(マネックス証券・牧さん)

■今年の共同イベントは10月7日、渋谷ヒカリエにて開催!


 さて、毎年恒例となっている共同開催イベントだが、今年は例年とは時期が変わり、10月7日(日)に渋谷のヒカリエで『ネットでNISA2018』という名称で開催される。このイベントで注目して欲しいポイントと意気込みを聞いた。

 「今年は、『日本のシリコンバレー』とも言われる再開発のど真ん中、渋谷にあるヒカリエが会場です。今回は本イベントでこれまで最高となる17社の運用会社に協賛いただき、過去最大の盛り上がりが期待できると思います。SBI証券では、アンケートの実施のほか、ノベルティもご用意していますので、お気軽にお立ち寄りください」(SBI証券・橋本さん)

 「これから投資を始める方からすでにご経験ある方まで、多くの方にお楽しみいただけるよう、今年も多彩なプログラムをご用意しております。また、本イベントはネット証券にとって、私達の『思い』をお客様に直接お伝えする貴重な機会でもあります。ぜひ率直なご意見・ご感想をいただき、一緒にイベントを盛り上げていければうれしいですね」(カブドットコム証券・坂中さん)

松井証券 営業推進部長 田中 豪氏

 「今年は、開催時期が変更になり大変お待たせいたしました。『投資の日』の日にも近く、資産形成・投資信託について考えていただく絶好の機会だと思います。新たに松井証券が加わった5社の共同開催で、多数の運用会社の協賛・出展もあり、大々的にイベントを運営してまいります!」(マネックス証券・牧さん)

 「この機会に、品揃えやコスト面、利便性などネット証券ならではの投資信託の魅力を知っていただき、ご活用いただければと思います。楽天証券は、楽天スーパーポイントで投信を購入できるなど、投資を身近に感じて、気軽に資産形成していただけるようにさまざまなサービスを充実させていますので、それを一人でも多くのお客様にお伝えしていきたいですね」(楽天証券・山口さん)

 そして、初参加となる松井証券の田中さんは、「まずは私達が投資信託を扱っていることを知ってもらいたいですね」と話す。「松井証券は株式取引のイメージが強いのか、投資信託サービスがあることをご存じない方もいらっしゃるからです。もちろん、5社のうちの一社として、当日は多くの方と触れ合い、来場されるお客様の一助になる取り組みをしていければと考えています」。

 最後は、全員で「皆様のご来場を心よりお待ちしております!」と声を合わせた。

5社共同開催イベント『ネットでNISA2018』の詳細は⇒こちらへ

(構成/肥後紀子、撮影/柴田潔)