「日本応援株ファンド(愛称:スマイル・ジャパン)」 設定から8年で基準価額は2.4倍に。運用体制の強化で、厳選した優良銘柄への投資を今後も続けていく

~運用開始から丸8年を迎える「資産倍増プロジェクト」発ファンドの最新状況【1】~

ネット証券大手による「資産倍増プロジェクト」から専用ファンドとして誕生した、三菱UFJ国際投信の「日本応援株ファンド(日本株)(愛称:スマイル・ジャパン)」。今年7月11日には設定から丸8年を迎えることとなり、基準価額は設定来で約2.4倍になっている。また、今年度から運用組織を再編し、運用力のさらなる強化にも努めている。

同ファンドの直近の運用状況と運用の仕組み、また今後の日本株市場の見通しなどについて、林広志・三菱UFJ国際投信 株式運用部業務戦略グループ チーフマネジャーに話を聞いた。

■厳しい環境下での運用となった2018年度は、第4四半期で復調に転じる

日本株の中から割安で優良な銘柄を厳選して投資するという「日本応援株ファンド(日本株)(愛称:スマイル・ジャパン)」。冒頭で触れたとおり、設定来で見ると基準価額は約2.4倍と大きく伸びているが、2018年度(2018年4月~2019年3月末)については厳しい環境下での運用になったという。そこでまずは、2018年度の市場全体の動向と共に、ファンドの運用状況を振り返ってもらった。

三菱UFJ国際投信 株式運用部業務戦略グループ チーフマネジャー 林広志さん

「2018年度の日本株市場を一言でまとめると、総じて弱含みのボックス圏だったと言えます。その背景にあったのは、現在まで続く米中貿易摩擦などのグローバルにわたる懸念材料と、それが世界経済の減速につながるのではないかという憶測です。12月には、世界的な景気減速懸念や米国政権の政策を巡る不透明感などから、株価が急落する局面もありました」(林広志チーフマネジャー、以下カギカッコ同)

2019年に入ると、マーケットを意識した主要国の金融政策――たとえば、FRB議長が利上げ休止を示唆したり、中国が景気対策へ舵を切ったりといったことを機に、グローバルでも日本でも株価は戻り基調になっていったという。ただ、貿易摩擦をはじめとする主要国の動向は、日本の企業収益にも大きな影響を与えたと林チーフマネジャーは解説する。

一方、直近1年のファンドの運用状況は▲18.7%で、参考指数であるTOPIXの▲7.3%を下回った。「設定来の騰落率では、当ファンドが+146.3%に対してTOPIXは+82.9%で、これまではTOPIXに対して概ねプラスで推移してきました。しかし、2018年度については非常に厳しかったと言えます」。その理由には、小型株の不調とファンドが組み入れていた個別銘柄の要因もあるという。

          ●基準価額と純資産総額の推移

「2018年度の夏場は小型株が劣勢でしたが、TOPIXに比べて当ファンドでは小型株の組み入れ比率が相対的に高く、さらに保有銘柄の一部で不祥事や不正検査、また自然災害による拠点の損壊など、業績や株価に影響が大きいアクシデントが重なりました」。スマイル・ジャパンでは大型株と中小型株にバランスよく投資していて、2017年度については小型株がパフォーマンスに大きく寄与したが、2018年度は逆に足を引っ張った格好となった。

「もちろん、マイナス要因だけではありません。プラスに寄与した要因もあります。事象面に注目して紹介すると、たとえば先行投資による省力化、国内外のM&Aによる布石、有形無形の保有資産に価値がある…こういった特徴のある銘柄については、スマイル・ジャパンの基準価額の押し上げに貢献しました」

          ●2018年度の基準価額プラス寄与上位20銘柄

前述のとおり、2019年に入ると日本株市場は戻り基調となり、スマイル・ジャパンについてもポートフォリオの見直しが功を奏し、騰落率はプラスに転じた。2018年度第4四半期(1~3月)では、騰落率は+6.0%(同期間のTOPIXは+6.5%)となった。2019年3月末時点のスマイル・ジャパンの基準価額は2万4033円、純資産総額は12.73億円。また、設定来の分配金合計は600円(1万口当たり、税引前)となっている。

■将来を見据えて組織を再編。強化したチーム運用体制で、競争力のある優良銘柄を厳選

次に、スマイル・ジャパンの運用プロセスとその特徴を見ていきたい。が、その前に今年度の大きな変化として、運用組織の再編について触れておく必要がある。具体的には、これまで2つに分かれていた国内株式グループを2019年4月から一つに統合した。その狙いを、林チーフマネジャーは次のように語る。

「この再編のポイントは、情報や分析などをこれまで以上に効率的に行ない、共有連携することにあります。これまでのバリューと小型株を含むグロースでそれぞれ強みを持つグループが一つになり、さらに海外株式グループとも連携することで、銘柄分析力をより強化して、運用力を拡充していきます。」

運用体制の拡充を図る一方で、これまでの8年間で着実に実績を積み上げてきたファンドの運用プロセスに変更はない。下の図を補足すると、まずPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りの3つの観点で、日本株全体から割安度の高い200銘柄程度を絞り込む。その上で、財務の健全性、業界でのシェア、株主還元の3点に注目して50~100銘柄を選び、最終的に競争力が高い30~50銘柄に厳選投資する。また、大型銘柄だけでなく、優良かつ割安で成長が期待できる銘柄については、中小型株にも投資している。

          ●運用プロセスについて

「ポートフォリオの構築・運用にあたっては、規模や業種などのバランスを考慮し、経営面・財務面・収益面をそれぞれ精査しつつ、より確度の高い銘柄への入れ替えを実施しています。テーマ型のファンドではないので、内需や外需、また企業規模も偏らずに幅広い銘柄を組み入れたポートフォリオであることが特徴です。だからこそ、どんな運用環境であっても数年単位で見ていただければ、アクティブ運用の強みや面白さを発揮できます。今後も、中長期での基準価額の上昇を目指して、強化したチーム体制での運用を継続していきます」

■各主体が変革を志向する中で、銘柄選択の重要性がより増していく1年になる

さて、気になるのが今後の日本株市場だが、2019年度(2019年4月~2020年3月末)はどのような動きを想定しているだろうか。

「今年度は、決して簡単な相場ではないと見ています。決着が付かない米中の貿易交渉問題に代表されるように、各国とも自国優先の内向きな政策スタンスを強めていて、いわゆる金融相場の色彩が強くなるのではないでしょうか。現状では、2019年度の企業の業績見通しも決して楽観的ではありません。ただし、業績予想を保守的に出してくる企業も多く、見極めは難しいですが、年度の後半で盛り返す企業もあると考えています」

その中で、「個人的な見解」という注釈付きだが、日本固有の要因が結果的に相場の追い風になるという展開もあり得ると、林チーフマネジャーは予想する。具体的な「日本固有の要因」としては、今回の「改元」や選挙等の政治日程、また来年以降に行なわれる東京五輪や万博の準備、新駅等に伴う品川周辺の開発などが挙げられるという。

また、大きな動きとして、個別企業や産業界全体、証券取引所、運用会社、そして投資家など、各主体が変革を目指して動き出していることも見逃せないと指摘する。「厳しい時代だからこそ、どの主体も変革を志向していて、特に企業や産業界で本格的な変革が始まりつつあると認識しています。たとえば個別の企業では、積極的なM&Aやコーポレート・ガバナンス(企業統治)の改善を通じて構造改革を進めているところが増えています。ただ、企業によって経営意識には違いがあり、2019年度の後半にはそれが企業業績の差となって明確化してくるのではないでしょうか。つまりこの先より一層、個別銘柄選択の重要性が高まっていくと考えています」。

さらに、東京証券取引所で東証一部の基準を見直そうという動きが出るなど、証券取引所でも構造改革が起きている。そのため、中期的には各社の企業価値向上に向けたコーポレートアクションの活発化も期待されるという。「時価総額の増大に舵を切るなら、前述したようにM&Aの積極化もあるでしょうし、企業によっては本業に集中する、あるいは新領域の開拓という方向もあると考えます。いずれにしろ、上場企業各社においては『株式を上場している意義』そのものを問われる局面が、これから多くなるのではないでしょうか」。

もう一つ、投資家という主体に目を向けると、需給面では個人投資家の投資スタイルの変化が、日本株の前向きな可能性として挙げられるとのこと。「具体的には、『NISA(少額投資非課税制度)』や『iDeCo(個人型確定拠出年金)』などの制度の導入により、日本でも長期の積立投資が定着しつつあることです。当社全体で長期積立の資産運用を続ける方々を応援し続けています」。

■常に丁寧な情報開示を継続している点も、スマイル・ジャパンの大きな特徴

2011年のファンド設定当初から、スマイル・ジャパンの大きな特徴の一つとなっているのが、積極的かつ丁寧な情報開示の姿勢だ。毎月公開している月次レポートでは、組み入れている全銘柄を掲載。さらに、組み入れ比率の上位30銘柄については、担当ファンドマネジャーによるコメントも記載している。また、運用担当者からのコメント欄では、「今月の運用成果とその要因」「今月の売買動向」で具体的な銘柄名を挙げて説明している。

「月報でここまで積極的に開示しているファンドや運用会社は、なかなかないと自負しています。運用状況が良いときも悪いときも、今後とも丁寧な情報開示を継続していく方針です。繰り返しになりますが、ネット専用ファンドとして丸8年間、着実に実績を積み上げてきました。ぜひ、中長期で保有していただいて、マザーマーケットである日本株式の可能性を実感していただければうれしいですね」

なお、設定当初からスマイル・ジャパンを保有していれば文字通りの「資産倍増」を達成しているわけだが、すでに述べたとおり、このファンドはテーマ型ではなく、また割安で競争力のある魅力的な銘柄を常に発掘し続けている。そのため、これからエントリーを検討しても、中長期では十分期待ができるファンドと言えるだろう。

最後に、スマイル・ジャパンのコストについて確認しておきたい。購入手数料はノーロード(0円)で、信託報酬は1.08%(税抜1%)、また解約時の信託財産留保額は不要となっている。さらに詳しい情報はこちらのページでも確認できるので、ぜひ参照して欲しい。

(取材・文/肥後紀子、撮影/柴田潔)